ジョージタウン1軒目・・・「路地裏の屋台」で“雲呑面(ワンタンミー)”

1月13日(金) 時刻は14:00、あれこれと30分ぐらいは宿にいただろうか。空腹を満たすべく宿を出る。街をうろ
つきながら、目ぼしい店を探す。“雲呑麺(ワンタンミー)”を食べると決めている、が、店の中りはつけていない。

歩きながら、街の様子を興味深く眺める。今の目的は“食べる”こと、だが、目的を遂行するためだけの旅では
つまらない。行き交う人々、路上のマンホール、街角の郵便ポスト、路地裏にある古ぼけた店・・・街には様々な
宝物が転がっている。ただし、それを宝物と見るか、ガラクタと見るかは人それぞれだ、当然そこに正否は無い。
私にはキラキラと輝いて見えるものでも、興味のない者からしたら無色透明、その存在自体意識することはない
だろう。その逆も然りだ、私だって興味の無いことに対してはまったく無関心だ。だから・・・私は、私の感性に同
調を求める気などさらさら無い。感性なんて千差万別、違って当たり前、良い悪いは存在しない世界。
そう思うから・・・

お気に入りの場所を見つけたら意味も無くそこに留まっていたい、許されるなら、何日でも、そして飽きるまで。
次の目的地も決めずに、風に吹かれるまま、気の向くまま・・・そんな旅が出来たら最高だ。いつの日か出来る
のだろうか?そんな旅が。
 
 
スチール製のワイヤーで描かれた“壁画”、遠めから見るとそれが“立体物”であることに気付かない。街中でい
くつか見かけたが・・・巧みな“ワイヤー捌き”?に感動!
 
 
路地裏で見付けた屋台、張り出したテントの下に質素なテーブルと椅子を並べている。小さくて目立たないメニ
ューを見る。“ワンタンミー”の店だった。近所で働いている人たちだろうか、昼時はとうに過ぎているが、中々
繁盛している様子だ。この屋台に腰を落ち着けることにする。小・中・大、サイズは3種類、中サイズRM3.2(約80
円)を注文する。たった10円ちょっとをプラスすれば大サイズにすることも出来たのだが・・・

眼鏡をかけた若者が注文を取っている、この屋台に似つかわしくない雰囲気。スーツを着込めばサラリーマンと
いっても違和感はないだろう。対照的に、調理場で黙々と麺茹でを行う男、その真剣な眼差しを見るに付け、こ
の店の味は、間違いないだろうとの確信を得る。男は職人の眼をしていた、それも“上質”な・・・(かなり誇張)
ふと、思う。この屋台の主人は果たしてどちらなのかと。どう見ても、年嵩は麺茹での男が上だ。だが仕切って
いるのは若者のように見える。男の腕を見込んで、雇っているのかも知れない。ひょっとしたらこの屋台は単な
る屋台ではない、そう、“ベンチャー屋台”なのかも知れない、などと、どうでもよい空想を巡らせていると、注文
の品が運ばれてきた。

これが“ワンタンミー”か・・・樹脂製の丼、そのオレンジ色と、チャーシューの縁(へり)のオレンジ色が微妙にシ
ンクロしている。思ったより小ぶりな丼、嵩も低い。これなら“大”にすべきだったかなと小さな後悔が頭をよぎる。
早速一口、麺からいく。麺類は必ずスープからいく私だが、この“ワンタンミー”はスープが少ない。それは、この
店に限ってのことでは無く、恐らくはこれが、マレーシアではスタンダードな姿なのだろうと思う。
そう言えば・・・長崎で食べたチャンポンも汁が少なかったな、それと、ふと被る。ルックスはまるで違うのだが・・・
“蒸し麺”を使用しているのだろうか?生麺の“コシ”とは違う“コシ”がある。しかも加水が低いと見た、好みの
麺だ。ワンタンはクセが無く食べやすい、日本で食べるワンタンとほぼ同じだ。チャーシューには脂身がない。
これは鶏肉?ムネ肉?と思えるほど、ぱさついていた。スープは黒に近い、かなり濃い色をしている。一口すす
る。甘い・・・とても甘い。ダシが効いているか?、いや全然効いていない。というかダシはとってない、絶対に。
もう一口・・・ふと気付く。そうか、そうだよ、これはスープじゃないんだ。麺に絡める、味付けのソースの役割
なんだ。はなっから“飲む”事なんて想定してないんだよ。(多分・・・)、そりゃダシなんて取るわけないよな。
日本の感覚で判断してはいけないんだ、丼になみなみと注がれたスープ、そしてスープは飲むもの、それが当た
り前だと思っていた自分の感覚・・・こりゃ革新的な発想に欠けるな、まだまだ修行が足りない。
そんな“ワンタンミー”だったが、このジャンクな風味・・・嫌いじゃない。あっという間に平らげ、完食。
やはり読み通りだった・・・おやじ、中々やるな。ごちそうさん!※おやじと書いたが、私より若い、絶対に。

ちなみに、隣席のおっちゃんの“ワンタンミー”は“汁なし”だった。
それは差し詰め、日本で最近流行っている?“混ぜそば”に当たるのか・・・